こ最近雑誌やインターネットで話題の「FIRE」(ファイア)。資産運用で貯蓄を増やし、若いうちに仕事を辞めて自由を謳歌する生き方です。
働かないで生きるという選択は莫大な資産が必要となりますが、コツコツと準備すればフリーランスでも実現可能です。
この記事では、フリーランスがFIREを達成させるプロセスと注意点を解説します。
ココがポイント
フリーランスが実現できるFIREには4種類ある
フリーランスとFIREには親和性がある
FIREを実現するには将来設計を行うことが大切
FIREとは
FIREとは経済的自立(Financial Independence)と早期の引退(Retire Early)の頭文字をとった言葉です。アメリカ発祥の考え方で、仕事を辞めて、貯蓄と資産運用で生活費をまかない、経済的な自立を目指すというものです。
貯蓄を投資に回して運用益を生み出し、年間支出と同じ金額になれば資産を切り崩さず運用益で生活ができるという考え方です。元本は減らさずに運用益のみで生活費をまかなうため、病気や運用失敗などトラブル発生時の生活防衛資金も確保できるので働かない選択もできます。
FIREの4つの種類
投資の運用益で生活費をまかなうのが基本スタイルのFIREですが、どのようなライフプランを選ぶかによって種類が変わります。
FIREの種類によって必要となる資産の金額や難易度が変わるので、自分に合うスタイルを選んで目指しましょう。
ファットFIRE
ファットFIREのファットとは「太っている」という意味だけでなく、「豊かな」という意味もあり、投資による運用益のみで生活し、遊びの我慢や節約をせずに贅沢を楽しむスタイルです。一般的にイメージされる経済的自由なので理想的なFIREともいわれます。
仕事をせずに運用益のみで生活をするには莫大な資産が必要です。元々不動産や株を持った資産家や事業で成功した方は比較的実現しやすいスタイルのFIREといえるでしょう。
リーンFIRE
リーンとは「無駄がない」のほかに「痩せた」という意味があります。ファットFIREと同じように運用益のみで生活するスタイルですが、リーンFIREは生活水準を限界まで下げることでFIREの実現が可能です。
無駄使いや贅沢はせずに最低限度の生活で暮らせば、運用に必要な資産も大幅に抑えられるので、早期に仕事から離れられます。
しかし、ストイックで余裕のない生活してFIREを達成させることから、自由のイメージとは少し離れた生活スタイルともいえます。したがって、達成後も倹約生活を続けられる人でないと難しいでしょう。
サイドFIRE
資産運用だけで生活費をまかなうのではなく、一部を労働収入でまかなうスタイルになります。自分で働く時間や場所を決められるフリーランスとして働きながら達成するのが一般的です。
FIREを達成することで会社員のようなフルタイム勤務にこだわることなく、自由な働き方を実現できます。
自分のやりたい仕事を好きなタイミングで必要な分だけ働くことがフリーランスなら可能です。
運用益のみで生活するファット・リーンFIREよりも達成ハードルは下がるスタイルです。また仕事を続けるので相場の値崩れなどにより資産運用を失敗して生活が破綻するリスクも避けられます。
バリスタFIRE
サイドFIREと同じように運用益+労働収入でFIREを達成するスタイルですが、アルバイトやパートタイムで労働収入を得るスタイルをバリスタFIREと呼びます。
アメリカでは退職すると無保険になってしまうので、FIRE達成後も保険に加入するために雇用を受ける人がいるためサイドFIREと区別されています。
日本でも一定の条件を満たせば、アルバイトやパートタイムといった雇用形態も社会保険と雇用保険に加入できるので、保険や労働収入を得ながらサイドFIREを目指すことが可能です。
フリーランスがFIREするにはどうすればいい?
FIREを達成させるには自分に合ったFIREがどれか選ぶことが重要です。自分がどのような生活をしたいか考えてみましょう。投資計画は税制優遇制度を活用しつつ、リスクを最小限まで抑えた計画をたてることでFIREに少しずつ近づいていきます。
どの種類のFIREにするか検討する
FIREの種類によって生活費をまかなう運用益の割合や金額が異なります。自分の資産や投資計画にあうFIREを目指しましょう。
一般的にFIREは「年間支出金額の25倍の金額を元本として確保」と「生活費を投資元本の4%に抑える」ことが必要とされています。
たとえば、年間支出が4,000,000円の場合は25倍の1億円を元本として確保し、年率4%で運用することで利益が4,000,000円となるので元本を削ることなく運用益だけで生活できます。生活支出をもっと減らせば必要な元本も少なくなるのでFIREの実現は近づくでしょう。
長期スパンで資金計画をおこなう
早期退職を目指すために、短期間でたくさんの資金を増やそうと思われる方が多いでしょう。しかし、短期的な投資計画をたてると、リスクが生じやすいといったデメリットがあります。FIRE達成を目指すには、リスクを最小限に抑えるためにも、資金計画は時間をかけて長期スパンでおこないましょう。
もちろん、長期投資は利益が増えるのに時間がかかるといったデメリットはあります。しかし、複利効果を活用できるので、元本だけでなく利益にも利子が付くことから、単利以上の利益が生み出せるのがメリットです。
運用期間が長ければ長いほど短期的な値下がりのリスクも避けられるので、10~20年先といった長期計画でFIREを目指しましょう。
NISAなどの投資を活用する
NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(確定拠出型年金)などの投資なら運用の手間が少なく長期の資産形成におすすめです。
NISAは小額での投資が可能で一定の条件で運用益が非課税になり、iDeCoは一定の条件で投資額と運用益が非課税となります。
また専門家に運用を任せる投資信託の購入をできるので、投資初心者でも始めやすい点も魅力的です。
フリーランスとFIREは相性がいい?
フリーランスは節税によって投資金額を増やしてFIREの実現を早めるだけでなく、仕事の量や収入を自由にコントロールできるFIREと相性がいいといえます。
たとえば、会社員だと毎月の給料が大きく変化しませんが、フリーランスは報酬の高い仕事を多く受けて収入を調整できます。
FIRE達成のために収入を増やしてたくさん投資に回し、FIRE達成までの時間を早めることも可能です。
FIRE達成後も好きな時間に好きな仕事を選んで働くことで、よりゆとりのある充実した生活になるでしょう。
フリーランスがFIREするときの注意点
フリーランスがFIREを目指すときは公的年金の受給額に注意しなければいけません。仮に会社に再就職を検討しても企業によっては再就職が難しいこともあります。
ここでは、フリーランスがFIREするときに注意したいポイントを見ていきましょう。
フリーランスがもらえる公的年金の受給額
日本の公的年金制度では会社員の場合は国民年金に上乗せされて厚生年金も給付されるのに対してフリーランスの場合は国民年金のみ給付されます。
令和3年度における国民年金受給権者の平均受給額は「56,479円」ですが、厚生年金加入者の平均受給額は「145,665円」なので約100,000円近くの受給額の差があります。
フリーランスは公的年金の受給額が会社員よりも低いことから、FIREを目指す場合は、一般的な会社員よりも多くの備えが必要になるでしょう。
フリーランスは再就職が難しいことがある
フリーランスがFIREを目指している途中、資産運用や事業に失敗した場合は会社員として再就職を検討しても難しいことがあります。
一般的に再就職するときには、年齢や、過去の経験、資格などを基準に選考されます。企業によってはフリーランスとして活動していた期間をキャリアとして認めないことがあります。フリーランスの経験が会社で活きるのか疑問を持たれてしまうと再就職の難易度はあがるでしょう。
再就職を検討するタイミングが遅くなれば年齢も高くなり、若いころ以上に再就職は難しくなります。
まとめ|フリーランスがFIREを目指すには?
経済的自立と早期退職を目指すFIRE。会社員だけでなくフリーランスも目指せることが可能で、むしろ仕事量や報酬を自由にコントロールできるフリーランスと相性がいいといえます。
しかしフリーランスは公的年金の受給額がサラリーマンと比べて低いことや、何かしらの事情で再就職を検討する場合断られることがあるなどの注意点も見過ごせません。
- ファットFIRE
- リーンFIRE
- サイドFIRE
- バリスタFIRE
それぞれのスタイルと自分の目指すライフプランをすり合わせて、自由な生き方を目指しましょう。