銀行口座

一人社長は銀行口座を簡単に作れない?銀行から口座開設を拒否される理由や対処法を解説

2023年6月28日

※当サイトでは一部にプロモーションが含まれています。

会社を設立したら法人口座を開設するのが一般的です。

しかし、審査が厳しいといわれているため、一人社長は銀行口座を簡単に作れるのか気になっている方もいるでしょう。

そこで、本記事では一人社長が法人口座を作るのが難しいかどうかの答えに加え、開設を断られる理由や審査に通らなかった場合の対処法を解説します。

 

ココがポイント

一人社長の銀行口座は、犯罪に利用されないか疑われていることを理解する
一人社長が、銀行口座開設の際に審査されるポイントは「事業の実態」
「事業の実態」を示す手段を組み合わせて、開設可能性を高めよう

 

一人社長が法人銀行口座を作れない理由とは

銀行口座 作れない 一人社長 フリーランス

一人社長が法人の銀行口座を開設できない理由は主に4つあります。

  • 登記住所がバーチャルオフィス
  • 事業内容が明確ではない
  • 個人口座の取引実績がない
  • 資本金が少ない

法人口座を開設できなかった方や、これから法人口座を開設しようとしている方は参考にしてください。

 

登記住所がバーチャルオフィス

会社の住所がバーチャルオフィスだと、口座開設が難しくなる可能性があります。近年多発している法人口座の不正利用のうち、バーチャルオフィスが住所の口座が多いためです。

たとえば、平成23年の利殖勧誘事犯*に利用された疑いがあるとして警察が凍結を求めた 口座のうち、約8割が法人口座で、その内の2割がバーチャルオフィスの住所を使っていました。

犯罪目的ではないかと疑われやすいため、登記住所がバーチャルオフィスだと審査に通らない場合があります。

 

*未公開株、社債、ファンド、外国通貨等の取引やこれら 投資被害の救済を仮装し、金を集める悪質商法

 

事業内容が明確ではない

法人口座開設の審査では事業内容を細かく確認しています。犯罪目的に使用されることを危惧しているため、事業内容が曖昧だと不信感を持たれ、口座開設を断られやすいです。

たとえば、定款に記載した内容と対面で説明した内容が異なっていたり、事業項目が多すぎたり(目安として 15個以上)すると、何をする会社なのか分かりづらいです。事業内容は、第三者が見ても明確にわかるようにしておきましょう。

 

個人口座の取引実績がない

法人口座を開設するには、個人口座のある金融機関で申し込むと審査に通りやすいといわれています。個人と法人とは別人格であるものの、取引したことがある方なら、銀行にとっては新規顧客より安心感を持てるからです。

したがって、一人社長の中には個人口座を開設したことのある銀行で法人口座を作ろうと考えている方もいるでしょう。

 

しかし、日々のお金の出し入れやクレジットカードの代金支払いなど、取引実績がないと銀行にとって安心感が十分ではなく、法人 口座開設が難しい場合があります。

 

資本金が少ない

資本金とは、会社を設立する際の元手です。

2006年に新会社法が施行され、資本金が1円でも 会社を設立できるようになったため、低い資本金で会社を作った方もいるでしょう。しかし、資本金は「会社の体力」を表す指標とされ、高額なほど銀行や取引先からの信用を得られる傾向にあります。

そのため、あまりにも低額だと、事業を継続できる可能性を疑われ、口座開設が難しくなる場合があります。

 

一人社長が法人の銀行口座を作るときの4つの審査基準

銀行口座 作れない 一人社長 審査 フリーランス

一人社長が法人口座を開設する際の主な審査基準をご紹介します 。

ただし、審査基準は金融機関によって異なるため、下記の項目を満たしていなくても審査に通る可能性はあります。

ここでは、一般的に言われているポイントを確認していきましょう 。

 

登記住所の場所

法人口座を開設する際、金融機関が重視するのは会社の住所です。

登記住所がバーチャルオフィスだと実態が掴みづらいため、審査が厳しくなる可能性があります。必ずしも拒まれるわけではありませんが、法人口座が犯罪や不正に利用されないか不信感を持たれやすいのです。

また、場合によっては、行員による訪問もあり ます。この場合は、あらかじめ会議室などを予約して迎えいれるなど、適切に対応しましょう。

 

事業内容の明確性

定款に記載されている事業項目が多すぎたり不明瞭だったり矛盾があったりすると、審査に通らない場合があります。

たとえば事業項目が多すぎたり(目安として15個以上)、「営利を目的とする一切の事業」などと記載していたりする場合は注意が必要です。何をする会社なのかがわからないと法人口座を悪用されるのではないかと疑われ、法人口座を開設できない可能性が高まります。

事業内容は、第三者が見てもはっきりわかるようにしておきましょう。

 

資本金の額が妥当かどうか

会社法上、資本金が1円でも問題はありません。

しかし、あまりにも少額だと事業を継続できるか疑われたり、法人口座を悪用するための架空の会社ではないかと不審がられたりします。設立して間もない会社の場合、決算書などチェックできる項目が少ないため、資本金額の重要度が上がります。

事業が数か月程度回るくらいの金額や、許認可が必要な事業なら条件にある金額を設定しましょう。

 

固定電話があるかどうか

固定電話の有無も審査のポイントです。

携帯電話のみだと、本当に存在している会社なのか疑われたり、途中で連絡がつかなくならないか不信感を持たれたりしやすいです。たとえば楽天銀行など、金融機関によっては申込時に固定電話を登録することが、法人口座を開設する条件 になっています。

固定電話があれば、実態のある事業者だと判断されやすいため、法人口座を開設できる可能性が高まります 。

 

ホームページがあるかどうか

ホームページは事業内容を証明する資料として有効なため、提示できれば法人口座を開設する際の審査で有利になります。

特に、ネットバンクでは重視されている傾向があります。たとえば、PayPay銀行では「具体的な業務内容を確認できるホームページ」があり、法人設立後半年を経過していると、そのホームぺージで業務内容を確認するとされています 。

また、GMOあおぞらネットでは「登記上の会社名・所在地」の明記や、顧客の予約・申込受付の実績が3か月以上あるなど、一定条件を満たしたホームページ1つで、事業に関する書類として認定されます。

予約や購入実績、顧客のコメントなど、客観的に事業活動が確認できることが大切です。

 

すでに個人事業主として売上の実績があるかどうか

個人事業主から法人化した方の場合、個人事業主であったときの事業に売上があれば審査で重視される場合があります。

運営実態があると証明できるうえに実績がある会社だと見なされ、信用につながるからです。各金融機関は、架空の未公開株や社債などの投資勧誘詐欺、振り込め詐欺に法人口座が悪用されることを危惧しています。

そのため、実態や実績が証明できれば健全な会社だと見なされ、口座を開設できる可能性が高まります。

 

【金融機関別】一人社長が法人の銀行口座を作成する流れ

銀行口座 作れない 一人社長 審査 フリーランス

一人社長が法人の銀行口座を開設する流れを、以下の金融機関別にご紹介します。

  • 都市銀行(三菱UFJ銀行の場合)
  • 地方銀行(広島銀行の場合)
  • 信用公庫(広島信用信用金庫の場合)
  • インターネット銀行(GMOあおぞらネット銀行の場合)

口座開設の手順や、手続きの違いを知りたい方は参考にしてください。

 

都市銀行(三菱UFJ銀行のケース)

三菱UFJ銀行でWEB法人口座開設する際の手順は以下の通りです。

  1. 「主たる事業所」の最寄の店舗を確認
  2. 申込登録
  3. 口座申し込み情報入力・必要書類をアップロード
  4. WEB面談
  5. 書類の受け取り・返送

三菱UFJ銀行は、混雑具合などによって、申し込みから口座開設の完了までに約4週間かかると案内されています。

 

地方銀行(広島銀行のケース)

広島銀行では、WEB口座開設に対応しておらず、対面での手続きが必要です。

  1. 「主たる事業所」の管轄本支店に確認
  2. 担当者に口座開設を相談
  3. 履歴事項全部証明書や定款などの必要書類を提出
  4. 担当者による実態確認(事務所に訪問)
  5. 管轄本支店による審査
  6. 審査に通過すると口座開設が完了

広島銀行の場合、WEB面談に対応していないので、銀行担当者による実態確認があります。

実態確認では、登記住所に事務所があるか、そこで業務をおこなっているかを確認されます。

実態確認が無事完了し、審査に通過すると口座が開設されますが、申込から口座開設までに約2~4週間かかります。

 

なお、レンタルオフィスやシェアオフィスの場合は、口座開設できない可能性もあるので、あらかじめ担当者に相談しておきましょう。

 

信用金庫(広島信用金庫のケース)

広島信用金庫も広島銀行同様に対面での口座開設の申し込みが必要です。

  1. 「主たる事業所」の管轄本支店に確認
  2. 担当者に口座開設を相談
  3. 履歴事項全部証明書や定款などの必要書類を提出
  4. 担当者による実態確認(事務所に訪問)
  5. 管轄本支店による審査
  6. 審査に通過すると口座開設が完了

広島信用金庫は実態確認後、すぐに口座開設をしてくれることがあります。

そのため、三菱UFJ銀行や広島銀行よりも、口座開設までにかかる時間が短く済むでしょう。

 

インターネット銀行(GMOあおぞらネット銀行のケース)

【GMOあおぞらネット銀行】の口座開設の申し込みは、ホームページからおこないます。

まず、事前質問に回答した後「口座開設申込フォーム」に会社や代表者などの情報を入力。

続いて「法人口座開設ナビ」にログインし、自撮り動画( セルフィ―)で本人確認をおこないます。なお、自撮り動画で本人確認を行えるのは以下の条件を満たす場合です。

  • 代表者と取引責任者が同じ
  • 取引責任者が「運転免許証」「マイナンバーカード」「在留カード」のどれか1つを持っている

※上記を満たさない場合は、アップロードや郵送で確認書類を提出します。

「事業内容申告」画面で事業内容を入力したら、事業内容確認書類などの必要書類を提出してください。「法人口座開設ナビ」で事業内容申告、自動り動画での本人確認、必要書類のアップロードを完了した場合、すぐに審査が始まり、最短即日で審査されます。

審査完了後、すぐに法人口座サービスの利用ができるので、開業後すぐに法人口座が欲しい方はGMOあおぞらネット銀行などのインターネット銀行の口座開設を検討しましょう。

法人設立したらまずはインターネット銀行

今すぐ無料で口座開設

※インターネットで法人口座を開設できる銀行

 

一人社長が法人銀行口座の開設を作れないときの5つの対処法

銀行口座 作れない 一人社長 対策 フリーランス

一人社長が銀行口座を開設できない際にはいくつかの対処法があります。ここではおすすめの方法を5つご紹介します。

  • 銀行口座の必要性を明確にする
  • 事業計画書を作成する
  • 取引先に紹介してもらう
  • 税理士に紹介してもらう
  • 個人口座を開設した金融機関に相談する

法人口座を開設できずに困っている方には有益な内容です。

銀行口座の必要性を明確にする

銀行口座を開設できなかったら、必要性をはっきりさせましょう。法人口座の悪用が多発していることを受け、法人口座を開設する際は取引目的を確認するよう、平成25年9月3日付で金融庁監督局長より通達がありました。

そのため、銀行口座の必要性が金融機関に伝わらないと、開設を断られやすいです。

また、場合によっては、なぜ申し込んだ金融機関でなければいけないのか説明が求められることもあります。

 

事業計画書を作成する

法人口座を開設する際は事業継続性を審査される場合があるため、事業計画書の提出で銀行に事業の将来性を提示できます。

事業計画書とは、経営に携わる人が事業の計画を文字や数字で説明する書類です。主に、販売や仕入れなど経営に関する計画と、資金調達や損益など資金に関する計画を記載します。事業計画書は会社の運営実態を証明する資料としても有効です。

そのため、適切な事業計画書を作成できれば審査に通る可能性を高められます。

 

取引先に紹介してもらう

すでに取引している企業があるなら、金融機関を紹介してもらうのも1つの手です。

その取引先がメインバンクとして利用している場合、通常の申し込みよりは法人口座を開設できる可能性が高いです。また、銀行によっては法人口座紹介のキャンペーンをおこなっています。

紹介を受けた方が新規で法人口座を開設すれば特典を得られるため、金融機関の紹介に前向きな法人がいる場合があります。

 

税理士に紹介してもらう

顧問税理士を雇っているなら、法人口座を開設できそうな銀行を紹介してもらえることも少なくありません。

税理士は銀行と一緒に企業の経営改善に取り組んだり、互いの顧客を紹介し合ったりしているため、一定のコネクションを持っています。顧問契約を結んだ税理士は会社に対して責任があるうえに、一人社長との人間関係があります。

場合によっては、法人口座を作成できそうな銀行を紹介してもらえるでしょう。

 

個人口座を開設した金融機関に相談する

個人口座を開設したことのある金融機関に相談する方法もあります。

たとえば、会社員時代の給与受取やクレジットカード決済などの取引がある個人の口座です。特に、支払いに1度も遅れたことがないなら、金融機関から一定の信用を得ているでしょう。

全く取引がないところよりは、法人口座を開設できる可能性があります。

 

まとめ

フリーランスから法人成りした場合や、一人社長の場合、法人の銀行口座を開設するのが難しいことがあります。

とくにバーチャルオフィスやシェアオフィスを登記住所としている場合、銀行からの実態確認の対応ができないことがあり、銀行所定の審査に通らずに法人口座を開設できないことも少なくありません。

とはいえ、一人社長だからといって、必ずしも法人口座をつくれないわけではなく、しっかりと対策をすれば法人口座を開設できます。

ただ、三菱UFJなどの大手メガバンクの場合、口座開設の審査が厳しく、事業の実績がなければ法人口座をつくれないこともあるでしょう。

 

そのため、フリーランスから法人成りした当初や、法人登記した間もないころは、地方銀行や信用金庫、ネット銀行での法人口座開設を検討することをおすすめします。

 

監修者情報

合同会社Fikatid 代表

岡本 修

大学院博士課程にて国際関係学を学び、自動車部品メーカーにて海外事業に従事。その後、大手電機メーカーにて外注交渉や調達業務を担当する。退職後はフリーランスWebライター・編集者・Webエンジニアとして活動。

2022年に合同会社Fikatidを設立し、SEOライティングや編集、Webサイト作成や名刺デザインに加え、SNS運用代行などのサービスを展開するかたわら、フリーランスや一人社長の開業・創業時のトータルサポートに励む。

一人社長やフリーランスが抱える悩みを解決するためのメディア「一人社長とフリーランスの虎の巻」では、経験に基づく、銀行口座開設や融資、資金繰りや保険などを詳しく発信。
(※一部顧問税理士および社会保険労務士による監修)

合同会社Fikatid:https://fikatid.com/

※2023年6月27日時点の情報

-銀行口座